book『蔵書一代』(紀田順一郎)

紀田順一郎著『蔵書一代/なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』(松籟社)を読んだ。図書館の「新着本コーナー」で見つけた。図書館の新着本コーナーにある本はだいたい1年ぐらい前の発刊のものが多いが、この本は今年の夏発行で珍しいケースだ。紀田順一郎は評論家、書誌家で、私の若い頃に好んだ著者だ。この本のことも週刊誌の書評で知っていたので、読みたいと思っていた。序章<永眠の朝>、半生を通じて集めた全蔵書と永遠の別れを告げる蔵書の処分の話から始まる。内容は「文化的変容と個人蔵書の受難」「日本人の蔵書志向」「蔵書を守った人々」「蔵書維持の困難性」からなり、蔵書(と公共図書館との関係もふくめ)をめぐっての近代の歴史的展開、文化・社会状況の変容との関係が多角的の述べられ、非常に興味深い本だった。「蔵書を守った人々」の中で、戦時中に日比谷図書館が非常な苦労の上空襲から蔵書の疎開を成功させた話、江戸川乱歩の膨大な蔵書が現在まで守られてきた話等興味が尽きないほど実におもしろい話が続く。なお今年の<book>はこれで終わります。来年もよろしくお願いします。